フランス留学のためにミニマリストになりたい女

アラサーでフランス音楽留学中の女が奮闘する記録。

宝塚宙組「フライング サパ」のライビュ

私は舞台を観に行くのが大好きです。演劇、バレエ、オペラ、ミュージカルと色々観に行きますが、元花組トップスターの明日海りおさんをきっかけに、宝塚歌劇も大好きになり、度々観に行っています。

宙組公演「フライング サパ」

あらすじなどは劇団公式ページにて↓

kageki.hankyu.co.jp

今回は梅田芸術劇場公演の千秋楽を各映画館にてライブビューイング中継&ネット配信しており、私は映画館にて鑑賞しました。
映画館は一席ずつ間隔をあけて座ることになっており、平日の昼間でしたがその会場は完売していたようです。

 

前評判通り、きらびやかな衣装も歌もなく、SF的世界観と膨大なセリフでつづられるおよそ宝塚らしくない、でもラストは実に宝塚らしい作品でとても引き込まれました。
(映画館が寒すぎてだんだんお腹が痛くなってきて、ヒロインが一幕で頭が痛い!と言うたびに一緒にお腹が痛かったです・・・笑)

 

星組から組替えした一作目の紫藤 りゅうさんが幕開きから本当に美しくて、世界観にぴったり!CGで作ったキャラクターのような、ツルリとした美貌が役に似合いすぎて、このために組替えしたの・・・!?と思ってしまうくらいでした。(違うんですが)

 

そして普段は男役ですが、今回女役として母親の役をされていた松風 輝さんのお芝居が素敵でした・・・。神々の土地でもお芝居にすごく好感を持っていたのですが、今回も絶妙な塩梅のお芝居、男役さんならではの深みのあるお声がすごく印象に残っていいなぁ!と思いました。

 

メインキャストの生徒さんももちろん素晴らしく、みんなかっこいい・・・!(男役さんだけでなく、娘役さんもすごいかっこよかった)
終演後のトップスター真風さんのご挨拶と涙を見て、よくこんなに大変な作品を、感染症による公演中止を経て千秋楽までやってくださったなぁ・・・と感慨深くなりました。
まだこれから日生劇場公演があるので、どうかお気をつけて公演していただきたいです。


○上田久美子先生が好き

本作の脚本演出は宝塚歌劇座付き演出家の、上田久美子先生です。私は上田久美子先生ファンクラブがあったら入会したいくらい!笑 上田先生が好きなのですが、今回も上田先生の守りには入らないぞ!というぶっこんでいく姿勢がみえて大満足でした。

 

見ているうちに、以前の月組公演BADDYを思い出しました。
全てが均一化されて、不道徳は悪とされ消し去られたように見える世界。
しかし果たしてそれは人間が生きているといえるのか?
二つの全く違う作品は、同じ物語を違う言語で語っているように感じました。
ハードボイルド?なサパの世界の向こう側に、パステルカラーでメルヘンなBADDYが垣間見えたような。

 

そして宝塚らしいラストシーン、私は花組公演の金色の砂漠を思い出しました。
主人公コンビたちは、それぞれに選んだ道は違えど、己の心が解き放たれるどこか知らない場所に旅立っていったのだな・・・と思いました。

 

他の作品に重ねるというか、同じテーマをこうも違う表現でできるのか!という驚きと、その引き出しに感動しました。


○伝統あるからこそ、攻めてほしい

上田先生は、自分のような若手がどんどん攻めていかねば、と以前インタビューでお話されていたと思います。
実際先生の攻め込み方はなかなかすごくて、毎回ちょっとした物議?になっているほどですね。今回も、これは宝塚なの?と戸惑われている方も多かったと思います。
(華やかな衣装もなく、歌もなく、宝塚を見た気がしない!というご意見もその通りだと思います)

 

私自身音楽をやっていて、芸術性と興行のバランス、お金になるものとやりたいもののバラスは常に隣り合わせの課題です。
小さな規模で何かやるには、無い袖はふれないしなかなか攻めた事が逆にやりづらかったりします。
宝塚歌劇という、最高の舞台設備、環境と組織を持っていて、温かいファンが必ず応援してくれる団体が、ぜひ常に新しいものを生み出し続けてこそ、文化が発展していけると思って応援しています。