フランス留学のためにミニマリストになりたい女

アラサーでフランス音楽留学中の女が奮闘する記録。

石岡瑛子展 血が、汗が、涙がデザインできるか

ずっと気になっていた石岡瑛子展に先日行ってきました!

www.mot-art-museum.jp

土日だったこともあり、結構な混み具合だったのと、見ごたえがありすぎて二時間半でも時間が足りませんでした・・・!

 

石岡瑛子さんとは

アートディレクター、デザイナーとして世界で活躍された方です。

東京芸大から資生堂を経て、渡米後は映画、オペラ、演劇、サーカスにオリンピックのプロジェクトなど多岐に渡ってお仕事をされており、今回の大回顧展ではそれらの足跡をたどることができます。

 

一貫する「体、生命力」といったテーマ

石岡さんはキャリアのスタートとなる商業広告の時代から、舞台芸術、映像芸術に至るまで基本的に「人間の体」をテーマに制作されています。

作品からは常に生命力、エネルギーが放出されていて、ついつい圧倒されてしまいます。

 

キャリアの序盤は広告ポスターや、書籍の表紙といった二次元的なアートワークが多いのですが、中盤から映画、演劇、オペラの衣装といった三次元的な製作が多くなっていきます。

二次元であろうと三次元であろうと、ポスターであろうと衣裳であろうと、一貫して感じられる確固たる個性、オリジナリティは本当に強烈でした。

一つ一つ個性的な作品なのに、どれにも共通する生命力、エネルギーはまさに石岡さんのスタイル、といえます。

 

女性、アジア人、日本人としての視点

 

石岡さんのアウトプットを通して、女性だからこそ投げかけたいメッセージ、アジア人だからこそ作れる世界観、日本人だからこそできる仕事、を正面からすごく向き合って形にされているな、と感じました。

 

女性ならではの細やかな視点、というよく言われるようなことではなくて、

女性の側から発したいメッセージを形にしていく意思、覚悟を感じたのです。

石岡さんは「日本の女性は女性であることを楽しんでいない」と話されていて、

日本女性をモデルにすることはあまりなかったそうです。

 

私は芸術性とは、己と向き合い切った人間の凄味、だと思っています。

石岡さんの作品からは、女性であり、アジア人であり、日本人であること(=ある意味弱い立場にあること)と向き合い切って、表現に昇華しているからこそ生まれる芸術性をすごく感じました。

私も西洋音楽を志す人間として、見習いたいところがたくさんありました。

 

世界を見る解像度

出来上がりの作品とともに、たくさんの製作メモを見ることができます。

ラフ画や色々な指示を書き込んだ資料など、デザイナーの方なら一つ一つ全部見て回りたいだろうな!と思うような展示物がたくさんありました。

 

中でもデザイン画は素晴らしく、こんな細かい色の変化まで考えているのか!とびっくりしました。

素晴らしい成果物を作り上げるには、世界を高い解像度で見ていること、発想の段階からいかに高い解像度で組み立てられるか、がいかに大事なことか肌で感じることができました。

 

最近自分の中で、この「解像度」というワードが熱いのですが笑

今回の展示でももれなくこのワードを思い出しました。

私自身、自分の出す声に対するイメージの解像度をもっと上げなければ、出す声がちっとも良くなっていかないではないか、と思っていたところでした。

舞台衣装

今回の大回顧展では、たくさんの衣装を見ることができます。

中でもオランダ国立オペラで約10年に渡って上演されたプロダクション「ニーベルングの指輪」の衣装は、最近まで上演されていたこともあり、ほとんど全て展示されていたのではないでしょうか。

本当に圧巻の量で、その世界観に圧倒されるとともに、衣装の大きさにびっくり!笑

これがワーグナー歌いの体か・・・と思うと、正直自分とは全く違う生き物に思えました。

また、石岡さんの衣装を着こなせる体躯と存在感を持ってこそ、オペラスターになれるのかもしれない・・・などと思いました。

私はオペラスターになることはないでしょうが・・・それでもこんな衣装を着こなせるような存在感を持ちたいな!と思わせてくれました。

 

 

 

会場では終始、石岡さんのインタビュー音源が流れているのですが、

その中で「日本では年を取ると能力が落ちていくと思われているでしょう。私は逆だと思う」(ニュアンスです)というようなことを仰られています。

私も、人間は年を取るごとに凝縮されていくというか、どんどん色が濃くなっていくと思います。

色が濃くなって、生み出すものも個性が凝縮された尖ったものになっていくと。

石岡さんの作品を年代ごとに見ていくと本当にそうで、晩年にパワーダウンするどころかどんどん洗練されていくようでした。

私も年を重ねるごとに尖った表現をしていきたい、と大きなパワーをもらいました!