フランス音楽院Formation musicaleの試験
日本とフランスの音楽教育で大きく違いを感じているのがソルフェージュ教育です。
(音楽基礎能力の教育、という感じのものです)
フランスではFormation musicale通称FMと呼んでおり、日本と同様必修科目となっています。
当然こちらも修了には実技試験があります。
日本とフランスのソルフェージュの違い
日本の音大のソルフェージュは、専攻に関わらず一律で新曲視唱(初めての曲を譜読みしてその場で歌う。だいたい作曲科の先生が作った難解な曲)、聴音(メロディーや和音を聞いて記譜する)を課題としてレベル分けし授業や試験を行うのが普通かなと思います。
とはいえ、おのずと専攻ごとに能力差が出て、だいたい同じ専攻は同じようなクラスにいるものですが・・・笑
ところが、フランスではFMの授業内容、試験内容は専攻ごとに分かれています。
私は声楽の授業しかわからないのですが、声楽の場合は
・既存の曲を歌詞付きで新曲視唱する(フランス語、ドイツ語、イタリア語、英語など)
・聴音はしない
・歌曲のピアノ伴奏の初見をする
・通奏低音
・合唱指揮
・レチタティーヴォの初見(オペラで節付きのセリフのようなパートがある。
言葉のリズム読み訓練のような感じ)
といった内容で毎週授業を行っていきます。
最初は日本と全然違うのでびっくりしましたが、とても面白いし日本の音大でもこういうソルフェージュだったらもっとずっと楽しかっただろうな、と思います。
FMの試験
試験の内容は課程や専攻によって分かれており、例えばピアノ科と声楽科では全然内容が違うみたいです。
(ピアノの子によれば和声の聴音などもあるそうです)
声楽の中でも課程によって試験内容は変わりますが、内容そのものというより、課題の曲数が変わる、という感じで課程が上がるとボリュームが上がるというイメージです。
実技系の試験は、必ず学外の審査員を呼んできて審査をするのがフランス式です。
FMの試験であっても、学外の審査員が先入観なしに審査をします。
試験内容はこんな感じでした↓
・新曲視唱2曲予見25分?(ドビュッシーとリストの歌曲でした!)
・ピアノ初見2曲予見25分?(メンデルスゾーンの歌曲伴奏と、レチタティーヴォの通奏低音伴奏)
・事前準備してきたピアノ伴奏(私の課題はシューマンの歌曲伴奏でした)
・事前準備してきたオプション
⇒オプションはダ・カーポアリア(ABA形式で最初のパートを繰り返す形式の歌)の再現部に装飾を付けてきて歌う、合唱指揮、現代曲の視唱の中から事前に選ぶというもので、私はダカーポアリアにしました。
なかなか盛りだくさんですが、事前に準備できるものがあるのと、先生が生徒のレベルに合わせて課題を選んでくれるので、わりと温情がある?試験でした笑
初めてのFM試験結果
最初は新曲視唱から始まりましたが、案外シンプルめな曲だったのでこれはいける!と予見時間は思ったのですが、結局全然ダメでした笑
ですが、私の特徴?で拍子は失わないので音高がわからなくなっても途中から戻ったりして、なんとか最後まではたどり着きました。。
ピアノの初見もあまり難しいものではなかったですが、通奏低音は今まであまりやったことがないので予見は問題なかったものの、試験の時にはつっかえたり間違えたりしてしまいました。
用意してきたものはそれなりに問題なくできたので、結果的にはtrès bienをいただいて合格できました!
声楽科のくせに新曲視唱はイマイチでしたが・・・ピアノとダカーポアリアが評価されたようでした!わーい
そして入学しても、卒業が難しいといわれるフランスの学校。
学外の審査員が先入観なしで審査するので、容赦なく不合格も出てました・・・。
FMは必修科目なので、落とすとディプロム(卒業証書)はもらえないのですが・・・全く容赦ない感じでした・・・。
一応事前課題などはレベル感に合わせてくれたり、できる限りの温情はかけてもらえるのですが、最後は容赦ないのがフランス・・・。
このあたりも日本の実技試験とは違うな~と思います。